ヤマト運輸は、2027年からの5年間でベトナム人運転手を最大約500人採用する方針を発表しました。
(2025年11月時点の報道)。拠点間の長距離輸送を担い、在留資格は特定技能1号です。
高齢化と物流の人手不足への対応として注目されますが、「500人入れれば足りる」話にはなりにくい面もあります。
コロナ禍の英国では、国外出身ドライバーの帰国が不足を増幅した経緯があります。
ベトナムは経済成長も続く国で、数年後に「祖国で働いた方がよい」という判断もあり得ます。日本で働く外国人は常に変動します。
本記事では発表の中身と、その読みを2026年8月9日時点で整理します。
いま分かっていること
- ヤマト運輸が、ベトナム人運転手を2027年から5年間で最大約500人(年100人規模)採用する方針
- 役割は拠点間の長距離(幹線)輸送。宅配のラストワンマイルは検討していない
- 在留資格は特定技能1号(就労は最長5年)
- ベトナムのIT大手FPTの日本法人と協業。現地募集→ベトナムで半年教育→日本で1年→外免切替で免許取得、という流れ
- 背景は運転手の高齢化・人手不足と、物流2024年問題(残業規制強化)
なぜ幹線だけなのか
長距離ドライバーは、体力・拘束時間・高齢化の影響が出やすい分野です。
宅配の末端より先に、拠点をつなぐ幹線で人手を確保したい、という設計に見えます。
一方で、育成に時間がかかります。
現地教育から日本での学習、外免切替まで含めると、採用開始の2027年までに年単位の準備が要る。
即戦力の大量投入ではなく、計画的にプールをつくる動きです。
英国で起きたこととの距離
コロナ禍前後の英国では、大型トラック運転手の不足が社会問題になりました。
要因は一つではなく、もともとあった不足に加え、パンデミックでEU出身ドライバーが母国へ帰り、戻りにくくなったこと、Brexitによる移動の制約、免許試験の停滞などが重なりました。
ヤマトの計画は、英国のような突然の空洞化そのものではありません。
教育ルートを組んだ計画採用です。
ただ構造としては似た弱点があります。
似たような事象が起きれば、国に帰られてしまう恐れはある、という読みです。
危機時の帰国、在留期限、母国側の景気。
国外人材に依存するほど、国内の需要と国外の判断がズレたときに穴が開きやすくなります。
数年後、「祖国の方が合理的」になりうる
ベトナムは経済成長が続く国の一つです。
日本の賃金・円の強さ・労働条件との差が縮まれば、数年後に祖国で働いた方がよいという判断はあり得ます。
特定技能1号は最長5年です。
キャリアの途中で帰国・転職の選択が入りやすい制度でもあります。
「採用した人数」より、「何年残るか」「次の年も来るか」の方が、現場の安定には効きます。
日本で働く外国人は常に変動している
ここが一番大事な読みです。
日本にいる外国人労働者は、固定の人材ではなく、国籍も人数も入れ替わるプールです。
野菜栽培などの農業現場でも、以前は中国やインドネシア、ミャンマーなどからの手伝い・実習の話をよく聞いた地域があります。
今は同じ話が目立たなくなった、という印象もあるでしょう。
送り出し国の景気、制度、為替、受け入れ側の条件が変われば、「どの国から来るか」自体が移ります。
技能実習全体でも、国籍の構成は時代で変わります。
かつて多かった国の比率が下がり、別の国が増える。現場の「最近あまり聞かなくなった」は、その変動の体感に近いです。
だからヤマトの500人も、「穴を埋めて終わり」ではなく、変動する人材に依存する運用が深まる、と見た方がよいです。
定着を前提にしにくい以上、採用計画と並行して、待遇・育成・交代の前提設計が本題になります。
まとめ
- ヤマトはベトナム人運転手を最大約500人、幹線輸送向けに採用する方針
- 特定技能・育成に時間がかかる。即効の不足解消ではない
- 英国ではコロナ禍に国外ドライバーの帰国が不足を増幅した。似た事象は日本でも起きうる
- 成長国からの送り出しは、数年後に「祖国の方が合理的」になりうる
- 外国人労働は常に変動する。農業現場で聞く国籍が変わってきた話も、その一例
内容は2026年8月9日時点の整理です。
実際の採用開始後に、定着率や運用の中身がどうなるかは、これからの話です。

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