新海誠監督作品の主役になぜ高校生が多いか?監督の育った地から考察してみた
新海誠監督の最新作品のアニメ映画「すずめの戸締まり」が11月11日に公開されます。
アニメ映画「君の名は」で一躍有名になり、有名になった新海誠監督、その一方で、「批判」や「疑問」の声が少しづつ出てくるようになりました。
なぜ批判や疑問が噴出し始めたのか、視聴者の批判や疑問への解消になればと思い、個人的な見解ではありますが、理由を紐解いてみました。
新海誠監督作品への批判や疑問はどのようなものか?
『すずめの戸締まり』、完成いたしました! 力を尽くしてくださった皆さま、応援してくれていた方々、本当にありがとうございました。きっと楽しんでいただける映画になっているはずです。たくさん観ていただけますように! pic.twitter.com/2XE0SLkrMq
— 新海誠 (@shinkaimakoto) October 21, 2022
大ヒットアニメ映画を出し続けている新海誠監督、しかし、ここのところ「作品の設定が似てきている」との疑問が出てきております。
最新作は「すずめの戸締まり」直近の過去作品は「君の名は。」と「天気の子」がありますが、登場人物、設定がよく似ていると言う指摘があります。
三作品の主人公の特徴を紹介します。
- 「君の名は。」立花瀧、宮水三葉(高校生)
- 「天気の子」森嶋帆高、天野陽菜(高校生)
- 「すずめの戸締まり」岩戸 鈴芽(17歳)
三作品で共通しているのは、十代後半の高校生を主人公にしてストーリーが展開することがほとんどで、観慣れた方から疑問が噴出しております。
新海誠監督って、女子高生ばっかりアニメにしてる気がする。「君の名は」「天気の子」「すずめの戸締まり」も、ぜーんぶ女子高生。
なんか日本のアニメって、女子高生の性的搾取で成り立ってる気がしてキモイんだよね。
こう思うのは、フェミ過ぎかな? pic.twitter.com/P6ex6NosCi
— すこさん (@siromos) December 15, 2021
新海誠監督作品の主役に高校生を多用しているのは、生まれ育った地域柄と学生時代の思い出に影響されている?
新海誠監督は1973年、長野県南佐久郡小海町出身。
小海小学校、組合立小海中学校、長野県立野沢北高等学校、中央大学卒業と言う学歴です。
学校は小海町にある、小中学校へ通い、高校は小海町から北へ約15キロにある、当時は佐久地域で一番の進学校であった野沢北高校へ進学しております。
映画作品のデビュー作は、2002年、個人で制作した短編アニメ作品「ほしのこえ」です。
そして、私が、新海誠監督を鑑賞していて個人的に思った感想は、「小海町と小海線から見える色に似ている」でした。
小海から通う小海線の世界観が変わる?
新海誠監督が中学を卒業し、高校に進学したのが1988年ころ、当時の小海町で同級生は100人強程度いて、ほとんどの人が地元の高校へ進学しております。
そして、遠方への通学者はこの地域では佐久市の、臼田駅近隣の1校、中込駅近隣の2校、岩村田駅近隣の3校へ進学するのが定番です。
小海と言う閉ざされた空間から、進学後、遠方へ通い始めると、景色や視界が拡がったかのように見え、別世界に向かっているような感覚になります。
新海誠監督が小海線からの景色の思い出を新海誠さん 長野県立野沢北高 通学中の小海線から見た「天気の子」の空で綴っております。
高校時代で一番印象に残っているのは、通学列車のなかです。僕が通学のために乗っていた小海線は、1時間に1本しか走らない単線列車です。生まれ育った場所は、標高が1千メートルくらいあり、周りには八ケ岳など高い山があって風が強く、空の表情がとても豊かなところでした。
最寄り駅の小海駅から高校がある中込駅までの約40分間、車窓から見える景色はとても美しいんです。家から学校までの区間は、わりと南北にまっすぐ走っていたので、列車の両方の窓がちょうど東と西を向いている。朝は東側の席に座り、朝日を眺めながら通学し、帰りは西側に座りました。夕方の日が傾いて沈んでいくまでの時間帯は、雲が刻々と色や形を変えていき、特に好きな景色でした。夕日が沈んだあと空がだんだん暗くなる様子も、まだ明るい時間帯の水の張られた田んぼにうつる青空の風景も、飽きることなくずっと眺めていました。
新海誠監督が仰られているように「小海線」と言う路線が、この地域の高校生には特別なものであり、切り離せないものなんです。
小海線と小海町
小海線とは山梨県北杜市(旧高根町)の小淵沢を起点に長野県南佐久郡南牧村、川上村、小海町、(旧)八千穂村、(旧)佐久町、(旧)臼田町、佐久市、終点小諸市の小諸を結ぶJR線。
小海町は佐久地域の中では、小海駅がある中心地でも比較的地形が谷になる地域であり、閉鎖されたような不思議な地域です。
人柄も、よくある田舎の様な閉ざされた空気に包まれ、中学を卒業する15歳までその空間で過ごすことになります。
自然の美しさと厳しさが共存している町です。
私の小海線の印象
私も、仕事で長野県内のほとんどの鉄道を利用したことがありますが、他線区と比較しても抜きんでて、小海線は独特の雰囲気があります。
小海線のほぼ中間駅の小海駅を境に客層がガラリと変わり、起点小淵沢から小海は観光地っぽく、小海から終点小諸は通勤通学利用者ばかり。
通勤通学利用が主体の小海から小諸の区間は、通勤の社会人との比率では通学利用の高校生が圧倒的に多い区間です。
また田舎と言う地域柄と佐久地域の人柄も相まって、朝の通学時間帯は不思議な雰囲気を醸し出しております。
女子高生が主役に多いのは通学列車内にいた片思いの人を追っている?
高校在学当時、新海誠監督に片思いの人がいたと言う話を聞いたことがあります。
ソースが何処にあるか、忘れてしまってすみません、地方の情報誌で見たか、噂で聞いたか、の程度ですが、当時、同じ列車に乗っていた人に片思いをしていたそうです。
確か、通っている学校の隣の高校の生徒で、当然名前も知らないだろうし、学年も違えば会える期間も短いはずです。
「精神があのあたり(高校生)で止まっている」とインタビューでも語っており、淡い思い出として残っているのかもしれません。
そして、高校生時代の生活と小海線での思い出が深く心に刻まれ、作品の中に生きているのでは、と筆者は感じております。
まとめ
「新海誠監督作品の主役になぜ高校生が多いか?監督の育った地から考察してみた」
いかがでしたでしょうか。
この地域を知っている私の個人的な見解も入ってしまいましたが、新海誠監督の育った地域から高校生時代の感覚と、作品の主役がなぜ高校生が多いのかを考察してみました。
10代前半から後半までの間、この感受性が高くなる時期に、誰しもが印象に残る鮮明な記憶を持っているのではないでしょうか?
その時の思い出が新海誠監督の記憶の中に凝縮しており、作品創りに活かされているのだと思われます。
間もなく「すずめの戸締まり」が公開されます。
今回の記事の事を頭の隅において視聴してみると、また違った目線で観れて面白くなるかもしれません。
ご視聴ありがとうございました。
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