第二青函トンネルのルートはどこか、車は通れるのか、JAPICの構想は何か。
検索ではこの三つが並びます。
2026年11月2日、木原官房長官は、総理から国土交通大臣へ具体化を指示した事実はない、と述べました。
一部では指示があったと報じられていましたが、会見では否定されています。
構想は民間団体や議員連盟で検討されている、と承知している、とも話しています。
中身として残っているのは、日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)の津軽海峡トンネルです。
延長は約31キロ、上に自動運転の車、下に貨物鉄道の二層です。
指示の有無と、ルートと車を一次の資料で書きます。
時点表記は2026年11月2日です。
いま分かっていること(2026年11月2日時点)
- 総理から国交相へ、構想の具体化を指示した事実はない
- 民間団体や議員連盟での検討は、政府も承知している
- 技術面を含む課題は多い、と官房長官は述べている
- 国交省は関係者の検討状況を注視する、という説明である
- 残っている中身は、JAPICの津軽海峡トンネルである
政府の事業として、掘る場所も工期も決まってはいません。
10月末に指示があった、と読める報道のあとに、2日の会見がそれを否定した、という順番です。
会見の確認は、首相官邸の11月2日午前の会見ページと、政府広報オンラインの動画でできます。
JAPICの構想は何か
報道で言う第二青函トンネルの中身は、JAPICが「津軽海峡トンネルプロジェクト」として出している案です。
公開資料では、延長約31キロ、内径15メートルの円形シールドです。
上段は自動運転車の専用道路で、片側1車線です。
下段は貨物鉄道の単線と、避難通路を兼ねた緊急車両の通路です。
既存の青函トンネルより急な勾配、1000分の25(25パーミル)で、海底からの土かぶりは30メートルです。
浅い位置を急な坂でつなぐので、穴は短くなります。
貨物は単線で、いまの運行頻度を維持する、という想定が資料にあります。
本州側は三厩(みんまや)方面、北海道側は木古内方面へ在来線でつなぐ、とも書いてあります。
資料の本体概算は税抜き7200億円です。
アクセス道路と在来線の接続は、別途かかる想定です。
これは民間団体の試算であり、政府の予算ではありません。
比較表は、JAPICの津軽海峡トンネル資料(PDF)にあります。
近年も、構想の説明の場は続いています。
第二青函トンネルのルートはどこか
いまの青函トンネルは、青森県今別町浜名と、北海道知内町湯の里を結んでいます。
延長は53.85キロ、海底部は23.30キロです。
最急勾配は1000分の12、海底からの土かぶりは100メートル、最大水深は140メートルです。
新幹線が速く走れる勾配にしたため、海峡の最短距離より長くなっています。
諸元は、JR北海道の青函トンネルの構造と、鉄道・運輸機構の青函トンネルのページで確認できます。
建設前の在来計画は、青森側の三厩付近と、北海道側の福島付近を結ぶ案でした。
当時の調査では、総延長は約36.4キロ、海底部は約22キロ、勾配は1000分の20とされていました。
JAPICの資料も、料金の試算区間を福島〜三厩と書いています。
地図の上では、在来の西ルートと同じ鞍部です。
違うのは中身です。
既存は12パーミルで53.85キロ、在来案は20パーミルで約36.4キロ、JAPIC案は25パーミルで31キロです。
在来案から見ると、約5キロ短い穴です。
既存から見ると、20キロ以上短い穴です。
長さが変わる主因は、工法の名前より縦断、つまり坂と土かぶりです。
車は通れるのか
JAPIC案の道路は、いまの乗用車がそのまま走る一般道ではありません。
自動運転車の専用道路です。
自動運転に対応していない車は、パレット台車に載せて運ぶ、と資料にあります。
路肩は特例で狭くし、片側の幅は5.75メートルです。
「通れる」の中身は、専用の走り方を前提にした通行です。
資料は、31キロの道路トンネルは世界一になる、とも書いています。
開業している道路トンネルで最も長いのは、ノルウェーのラルダールトンネルで約24.5キロです。
こちらは山岳トンネルで、2000年11月に開通しています。
平均の交通量は1日約2100台で、制限の数字ではなく実績です。
2026年11月16日から、いまの安全基準に合わせた改修に入ります。
改修の内容は火災対策、換気、非常用の設備が中心です。
公式の案内は、ノルウェー道路局のラルダールトンネルのページにあります。
海の下を車が31キロ走る穴は、いま開業しているものにはありません。
鉄道なら、既存の青函トンネルがすでに53.85キロあります。
車側で重いのは、長さそのものより火災と換気です。
エンジンの排気を避けるだけでは足りません。
電気の車でも、電池の火災は別の難しさがあると見ておく必要があります。
鉄道だけの穴、という見方
既存の青函トンネルは、新幹線と貨物が同じ穴を使う共用走行です。
貨物を外へ出せば、新幹線の速度を上げやすい、というのが第二の穴を語る理由の一つです。
北海道の本州向け貨物の大動脈も、いまは既存の青函です。
室蘭線が止まったときの迂回の細さは、室蘭線の不通と山線迂回の記事でも書いています。
JAPICは、津軽海峡に道路がないことをボトルネックだとしています。
一方で、31キロの道路を同じ断面に載せるコストと、火災の難しさは、鉄道側より重い、という見方もあります。
貨物鉄道を複線にする、あるいは関門鉄道トンネルのように単線を2本並べる、という形です。
関門は、下りが1942年、上りが1944年に開いた、別々の単線トンネルです。
専用の台車で車を曳く形は、中身が鉄道に近づきます。
どれがよいかは、政府の検討には入っていません。
まとめ
- 11月2日の会見では、首相から国交相への具体化指示はない
- 構想の中身はJAPICの津軽海峡トンネルである
- ルートは在来計画の三厩〜福島に近い鞍部である
- 延長は約31キロで、既存の53.85キロより短い
- 車は自動運転の専用道路で、いまの車がそのまま通る前提ではない
- 開業中の道路トンネルより長く、課題は火災と換気である
- 鉄道だけの穴、という見方もあるが、決まってはいない
いま分かっているのは、指示はない、という点と、民間案の中身です。
時点表記は2026年11月2日です。
公式の確認先
- 内閣官房長官記者会見(令和8年11月2日午前・首相官邸)
- 同日午前の会見動画(政府広報オンライン)
- 津軽海峡トンネルプロジェクト(JAPIC・PDF)
- 青函トンネルの構造(JR北海道)
- 青函トンネル(鉄道・運輸機構)
- E16 Lærdal Tunnel(ノルウェー道路局)
最終更新: 2026年11月2日

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