2026年8月21日、第三セクターの道南いさりび鉄道が沿線地域協議会で、JRから譲渡されたキハ40形8両の老朽化に対応し、H100形をベースとした新型車両7両を導入する計画を示したと報じられました。
車両更新などを含む設備投資は本年度から5年間で計約51.7億円、2031年度までの更新を急ぐ、との見通しです。
沿線地域協議会での説明を受け、北海道は国の補助金を除く約29.4億円を道と函館・北斗・木古内の3市町が各5割ずつ負担する案を提示したました。
しかし、市町側からは「負担が重すぎる」などと反発の声が上がった、との報道です。
同社は2016年、北海道新幹線開業に伴いJR北海道から分離された並行在来線(五稜郭―木古内)を引き継ぎ、開業時に譲渡されたキハ40形で走り続けてきました。
いま争われているのは、新型車のスペック自慢ではなく、老朽車の更新を誰がどれだけ払うかです。
本記事では、いま分かっている事実と、H100ベース7両の導入計画(報道)が示す方向、新造・中古・延命の選択肢を短く整理します。
発注確定ではなく、負担案の行方次第で内容が変わり得る点も触れます。
内容は2026年8月22日時点の整理です。
いま分かっていること
- いつ:2026年8月21日、沿線地域協議会(報道)
- 会社:道南いさりび鉄道(函館〜木古内、37.8km)
- 投資見通し:2026年度から2030年度までの5年間で、車両更新など含め約51.7億円
- 負担案:国補助を除く約29.4億円を、道と沿線3市町が各5割(道の提示)
- 市町:函館・北斗・木古内から反発。「負担が重すぎる」など(報道)
- 現行車:キハ40形8両(開業時9両、2025年度末に1両廃車)。JR北海道から譲渡、製造から40年以上(会社・協議会資料)
- 車種・両数:H100形ベース7両でキハ40(8両)を順次置き換える導入計画(8/21協議会・報道)。2031年度更新を急ぐ見通し
なぜ車両更新が急がれるか
キハ40は道南いさりび鉄道開業のとき、JR北海道から中古譲渡された車両です
。第2次経営計画(2026―2030年度)でも、製造から40年以上経過し老朽化が進んでいることから、車両数や検査体制も含め将来的な車両のあり方を検討すると明記されています。
会社は協議会で、部品の製造中止が増え、在庫や廃車車両からの転用で凌いでいる現状を説明しています。
JR北海道自身も、道南の定期運用からキハ40を置き換えつつあります。
新造車両を発注した場合、納品までおおむね3〜5年かかる、とのメーカー聞き取りも報告されています。
更新を先送りにしにくい、というのが沿線側の共通認識に近いようです。
なお、路線は貨物列車のために電化されていますが、旅客列車は開業以来気動車です。
非電化のホームや木古内駅構内の電圧などの事情があり(木古内駅構内は25000v)単純に「電車にすればいい」とはなりません。
更新の話は、誰から始まったか
発起人が一人、というより段階が分かれています。
- いさ鉄(経営計画):キハ40の老朽化を課題に書き、車両のあり方を検討すると表明
- 沿線地域協議会(2026年2月25日):道と2市1町が、具体的な検討開始を確認。道が議題化
- 沿線市町:負担割合の話をするなら、車両更新もセットで議論すべき、との意見
- 北海道(今回):国補助除く残額を道と市町で折半する案を提示 → 市町が反発
JR北海道は「開業時にキハ40を渡した側」であり、今回の更新案そのものの発議者ではありません。
車両の検査はJR北海道に委託し、札幌の苗穂工場で整備する体制が続いています。
車種は決まっているか
8月21日の協議会では、H100形ベース7両の導入計画が示された、と報じられています。
キハ40の8両を順次置き換え、2031年度までに更新を急ぐ、という見通しです。
ただし、これは導入計画の提示であり、発注確定や契約締結を意味するとは限りません。
沿線3市町が費用負担案に反発しており、新造か中古か、両数や時期を含め、協議が続く余地があります。
2月の協議会資料でも、車種・両数・検査体制・国庫補助・資金調達は検討項目として並んでいました。
読者側には、次の三つが並ぶイメージです。
- 新造(H100形ベースなど)… 今回の計画の方向。初期費用は高いが、検査委託先との共通化や国の支援を見込む論点がある
- 中古(キハ150形など)… JR北海道が函館方面でキハ40から置き換えた実績あり。譲渡・改修・検査のコストは残る
- 延命 … 部品転用や変速機更新など。根本解決ではない
「中古を調達すればいいのでは」という見方も自然です。
ただしキハ150はJR東日本のキハ110系をベースにした1990年代の形式で、100番台は非冷房、ブレーキもキハ40との混結を想定したCLE式の空気ブレーキ(電気指令式ではない)です。
安さだけで選べるか、接客や仕様面は別の論点になります。
キハ40の部品不足は、液体式気動車一般の宿命というより、旧型・供給終了に近い問題です。
新型の液体式なら部品面はまだ異なります。
争点は「液体か電気か」より、新造か中古か、誰が何割払うかに寄っています。
補足:H100形ベースが計画に載る背景
H100形が計画に載った背景として、報道や鉄道関係の整理では次の点が挙げられます。
- 車両検査をJR北海道(苗穂)に委託しており、委託先が扱う現行型に寄りやすい
- JR北海道が道内でキハ40からH100(DECMO)へ置き換え中で、整備ノウハがある
- 旅客列車は引き続き気動車で、H100は架線不要でキハ40と同じ運用枠に載る
- 道内では、国と北海道の支援で新造H100を導入した先例(道高速取得・JR無償貸与など)がある
- 低炭素新造車向けの国庫補助や、一定要件での固定資産税の課税標準軽減(取得後5年間など)に乗りやすい側面がある(必ず全額が出るわけではない)
- 各社でメンテの職人技に頼れる人員が減っているなか、共通化された現行型の方が運びやすい、という見方
計画がH100ベースを示した一方、市町反発のなかでは中古導入を求める声も出得ます。
最終的には、両数、財源、市町が受け入れられる負担割合とセットで決まります。
まとめ
- いさ鉄は5年間で約51.7億円の設備投資見通し。国補助除く約29.4億円の負担案で沿線3市町が反発
- 背景は、JRから譲渡されたキハ40の老朽化。2026年2月から協議会で具体検討
- H100形ベース7両の導入計画(報道)。発注確定ではなく、中古・延命の論点も残る
- 争点はスペックより費用と負担割合。鉄道ファンからは新車導入への驚きや、道南の景色が変わる可能性への言及も(報道・SNS)
- 中古150は初期費用を抑えられる一方、冷房・ブレーキなど世代の差も論点になり得る
新幹線並行在来線を引き継いで10年。最初に渡された車の更新費が、いま表に出ています。
どの車にするかより先に、誰がいくら払うか。そこが次の焦点です。

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